今回は「世界一の園芸会社」を目標に、積極的なM&Aを行なっているユニバーサル園芸社について決算分析を行いました。決算説明資料についても解説しています。
決算分析についてはこれまでと同様に、「安全性」「収益性」「将来性」「株価上昇性」「配当」の5項目について点数化しています。
①安全性・・・手元流動性、流動比率、自己資本比率
②収益性・・・売上高成長率、営業利益率、経常利益率、販管費率
③将来性・・・キャッシュフローマージン、未来投資、FCF
④株価上昇性・・・EPS増加率、PER
⑤配当・・・配当利回り、配当性向、増配率
はじめに上記5項目の点数です。
平均点は79点(配当除く)でした。
今回は「収益性」「将来性」「決算説明資料」について解説していきます。
企業概要
・オフィスなどへの観葉植物レンタル大手
・M&A超積極的
・海外事業の拡大志向
・株主優待制度
株価推移
株価は2021年から2023年9月までは上昇傾向にありましたが、10月からは下降気味です。最近では2024年2月を底に反転傾向にあります。
売上高も株価と同じく綺麗な右肩上がりで成長中です。一方で2024年6月期予想営業利益は売上高ほどの成長は見られません。理由としては人件費の増大と積極的なM&Aによるものとのことです。見方を変えれば将来の発展に向けての積極的に投資とも考えられます。
以降では「収益性」「将来性」「決算説明資料」について解説していきます。
収益性
ROE.ROA
ROEについてはまずまずの水準で、年々増加傾向にあります。一方で自己資本比率が微減していることから、自己資本比率低下によるROE上昇にも見えます。どちらかと言えば当期純利益に増加によるROE上昇が望ましいですから、最近のROE上昇はあまり評価できるものではないかもしれません。
ROAに関しては高い水準にあり、ROEの上昇とともに増加しています。
以上から、ユニバーサル園芸社の収益性を点数化すると77点となりました。
将来性
FCF、キャッシュフローマージン
フリーキャッシュフロー(FCF)では文字通り、会社が自由に使えるお金のことです。
フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー – 投資キャッシュフロー
ユニバーサル園芸社の場合は毎年プラスとなっており、自由に使えるお金、すなわち未来投資に使えるお金が十分にあることが分かります。
キャッシュフローマージンは営業キャッシュフローを十分に稼げているかを評価する指標です。
キャッシュフローマージン = 営業キャッシュフロー ÷ 売上高
10%以上で優良企業と判断でき、ユニバーサル園芸社の場合は常に10%を超えているため、全く問題ないでしょう。
未来投資
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
未来投資 | × | × | ○ | × | ○ |
設備や機械といった資産価値の目減り分以上の設備投資をしているかを確認したものとなります。2022年と2024年の直近ではしっかりと設備投資をしていることが分かります。
以上から、ユニバーサル園芸社の将来性を点数化すると80点となりました。
決算説明資料
セグメント売上高
主力はレンタルグリーンなどのグリーン事業で、小売事業や卸売事業は積極的なM&Aによって伸ばしていこうとしていることが分かります。
配当について
基本的にはM&Aの資金確保のために、利益は内部留保に回す(=配当に回されない)方針のようです。一方で株主への長期的な利益還元を経営上の重要政策と考えており、継続的かつ安定的な配当を実施していくとのことです。実際に過去5年間で減配は一度もありません。
株主優待制度もあり、年2回の基準日で100株以上保有していると、合計で3,000円分のクオカードを頂けます。100株以上保有していればいいので、かなりお得だと思います。
ただ、配当利回りは0.7%程度と決して高くはありません。
今後の事業戦略
M&Aはまだ続けていくようです。従って、「増収減益」状態はこれからも続いていくことが想定されます。ただ自己資本比率も高いため、M&Aによって一気に経営が傾くようなことはないかと思います。
海外事業の展開も進めていくようなので、ぜひ「世界一の園芸会社」となることを目標に頑張っていただきたいです。
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